みなさんは、2020年と言うと何を思い浮かべますか?
やっぱり話題になったのは新型コロナですし、新型コロナなしには語れないことが多いかと思いまする。
そんな中で化粧品業界も去年はコロナの影響をもろに受けましたね。
例えば売り上げが低下したと言うのはよく聞く話だと思いまする。
実際にコロナの影響によってコスメを買う頻度は低下しましたし、そもそも買う機会すら奪われたと思いまする。
またコスメの購入傾向も変わったと聞きますね
。
確かに振り返ってみるとメイクを重点的にやる場所が変わりましたよね!
たとえば、私はリップを使う頻度は減ったけど、アイメイクの幅をきかせたくてアイシャドーを買う頻度が上がりました!
こうやって、化粧品が売れなくなったとか購入の傾向が変わったという話をポロポロとニュースで見かけるんですけど、実は化粧品業界で変わったことがもう一つあるんです。
それは化粧品の研究です!
実は化粧品の研究は新型コロナによって大きな影響を受けました。
なるべくありのままの内容がしっかりと伝わるように書いていこうと思います。
化粧品の研究はいくつか種類がありますが、研究の種類としてたとえば
・細胞を用いた効能試験
・ヒトに化粧品を使ってもらう試験
がありますが、実はヒト試験が一切できなくなっていました。
なぜならコロナの影響によって色んな試験会社が運営自体できなくなったのです。
ヒトの試験をするときは社内でやることもあるんですが、
表にデータを出すような案件になると社内での試験は基本客観性に欠けるため、
表に出すことができないんですよね。
なので、客観性を持たせた試験をする場合、外部試験を委託する必要があります。
基本的に外部で試験をして結果が出た後にメディアなどにお話をすることがあるんですが、試験の結果が出ないと発表すらままなりません。
正直、ヒトの試験をしなければ何も表だって言うことができないのですが、試験ができないとなった以上途方に暮れるしかありません…
また、私自身も実は新型コロナが流行る前に始めたヒト試験がちょうど3月頃まで実施していた案件があり、これも肝が冷えました。
試験は続行したい。けれど、明日何があるかもわかりませんし、誰にも判断できない。
何か代替案があればよいのですが、
結局のところヒトの試験をしないことにはヒトで効果があるかどうかといった話をすることができないんですね。
幸い、この試験は最後まで無事に終わることが出来たんですが、数日遅かったら緊急事態宣言にひっかかっていたのでとても危なかったです。
とはいっても、これ以外にも試験を抱えていたんですが、他のものはどうしようも出来なくて延期してしまったんですけどねw
こうやって委託するような試験で影響がありましたが、他にも化粧品会社は大学との共同研究をすることが度々ありまする。
大学とは一般的には肌の仕組みや効果のメカニズムを細胞を用いて解明するような研究をしています。
具体的に言いますと、細胞を用いた試験ですね。
私自身も大学と共同研究をしている案件をいくつか抱えていたんですが、大学自体が閉鎖されていたり、また緊急事態宣言が解除されても、全員が一気に大学に入ることができないといった処置をされているところもあったので、研究が思った以上に進まなくなったのです。
もちろん学生にとってもこれは非常にきつかったと思いまする。
また、先生たちも研究ができなければ成果が残せないので本当に焦りがあったと思います。
そして私たち化粧品会社も研究成果を残せなければアピールするポイントが減ってしまうので非常に困ってしまいました。
この頃は出張自体が会社全体で禁止されてしまったので、大学に行こうにも行けない。
大学に行かなければ実験が出来ない。
打ち合わせをしようにも、面と向かって話すことができない。
もちろん議論はSkypeやズームなどで対処はする事はあったものの、それでも満足にできないことが度々ありました。
ただ、共同研究先の中には大学に行くことを制限された先生が、わざわざ自宅から会議をしてくださる方がいまして、本当に頭があがりませんでしたし、今でも感謝でいっぱいです。
私は今まで当たり前のように研究をしていました。
学生の頃から当たり前のように研究室に行って、教授と面と向かって話しをしながら実験をしていました!
成果が出れば学会に行き発表しましたし、質問があれば随時専門家たちとディスカッションをすることができました。
懇親会があれば専門家たちと研究事情について話し、耳に入れた研究内容について心が踊ることも何度もありました。
しかし新型コロナが流行ってからはスムーズに大学に入ることもできない。
研究をすることもできないの。
学会も中止になってしまったものもありますよ。
大げさに聞こえるかもしれませんが、今までの常識が何もかもなくなってしまったんですよんね。
私はこんな世の中になるなんて一切想像していませんでしたし、お金の事情や方針以外で研究がストップしてしまうなんて一切考えたことなんてありませんでした。
研究なんてどうせ消費者の方々に直接的に伝えることもできませんし、一見研究は優先順位の低いものに見えてしまうかもしれませんね。
実際に研究をしなくても化粧品が成り立つものもたくさんあります。
しかし、確実に今世の中に出ている化粧品たちは今までの研究の蓄積によってできたものですね
。
それが今できていないと言う事は今後新しい商品を出すことに弊害が出てしまっていると言うことなんです。
もしかしたら大きな会社はその弊害が小さいことかもしれません。
けれど大学との共同研究をしている会社も多いことから、影響が多少なりとも出ていると私は思っています。
新型コロナから1年が経ちました。
少しずつ新型コロナといったものに抵抗がなくなり、ウィズコロナとして日々生活を送っていますね。
しかし研究がスムーズに行くようになったかと言われるとそうではありません。
今も一部の試験委託会社が鈍化しているような状況です。
正直どうすればいいか代替案が思いついたわけでもありませんし、だからといって立ち止まるわけにはいきません。
この話をした感情にネガティブなものはありません。
研究が衰えても仕方ないなんて思っていませんし、私自身なんとかしないとと模索しています。
ただ、この慌ただしい世の中になっても
化粧品の研究をしている人たちは
消費者の方々の肌悩みに対してなんとかしようと取り組んでいる。
それを知って欲しかった。
ただただそれだけなんですよね。
さらに1年後、いったいどうなっているんだろう。
今年すらも見えていないことがあるのに、来年なんて途方に暮れてしまいます。
けど、目をそらさず、着実に一歩一歩進んでいきたい。
ただただ、そう思いましたね。